そうして、そのあくる朝、師匠の袈裟法衣をつけた狐の死骸がこの溝の中に発見されたのである。それがどう考えても判らないので、かれは絶えずそれを考えつめていると、今日この溝のふちを通るときに、測らずも泥のなかに何か薄黒く光るようなものを見つけたのであった。仏像はおそらく師匠の袂かふところに入れてあって、ここへ転げ込むときに水のなかへ滑り落ちたのを誰も見つけ出さなかったのであろう。毎日陰ってはいるが、この頃すこしも雨がないので、溝の水もだんだんに乾いて、泥に埋められていた仏像が自然にその形をあらわしたのであろう。自分にもよく判らないが、これは寺の秘仏として大切に保管されているものであるらしい。なんでも遠い昔に異朝から渡来したもので、その胎内には更に小さい黄金仏が孕ませてあると云いつたえられている。自分は九つの年から寺に入って、足かけ五年のあいだに三度しか拝んだことはないが、これはどうもその仏像であるらしいと彼は説明した。豊中 インプラント 孔子も時に会わず